「風に舞い上がるビニールシート」森絵都著
男女の恋愛としてのお話だけでなく
人としての優しさ、強さ、温かさが描かれています。
大切な人との別れ、立ち直る様、
主人公に感情移入してしまって、とにかく号泣しました。
一番好きな本は?と聞かれたら
多分「風に舞い上がるビニールシート」って答えてしまうくらい
この作品を初めて読んだ時の感動が大きいです。そして、それは今も色褪せません。
他にも好きな本はたくさんありますが、自分の心に十年以上経っても中心部分に居続けてくれている作品です。
この文庫本は短編小説集になっていて
本のタイトルにもなっている「風に舞い上がるビニールシート」は植木賞を受賞した作品です。国連機関に努める主人公「里佳」は上司と恋に落ちて結婚するが、すれ違いの生活に耐えられなくなり、離婚を決意する。離婚を決めてからの二人はとても優しくて、愛し合っているのに別れを選ばなければならなかった主人公と主人公の夫の気持ちの描写が丁寧で泣かずには読めませんでした。この物語は離婚で終わりではなくて、その後のお話もあって、その後のお話の方が強く心を動かされました。
他の5編もそれぞれに心に響くものがあって
何か、人生を一歩前進したくなるような気持ちにさせてくれます。
解説で藤田香織さんが述べているのですが、同じ作者が書いたとは思えないような作品があったりします。
ですので、カテゴリー化がすごく難しくてカテゴリー3つになりました(笑)
「風に舞い上がるビニールシート」は間違いなく泣ける恋愛小説ですが、恋愛だけでなく、人を想うあたたかさが痛いくらい心に沁みました。
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本の帯
本書には「懸命に生きる」ゆえの、
狡猾さや弱さや滑稽さも、
眼を逸らすことなく描かれていて、
とても「人間臭い」。
だからこそ、心を強く揺さぶられてしまうのです。
藤田香織(解説より)
裏表紙
才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり・・・・・。自分だけの価値観を守り、お金よりも大切な何かのために懸命に生きる人々を描いた6編。あたたかくて力強い、第135回植木賞受賞作。解説・藤田香織